こんにちは。算数・数学のプロ家庭教師、しあん堂です。
ブログをご訪問いただき、ありがとうございます。
今回は、小学生から社会人まで、さまざまな年代の人に算数・数学を教える中で感じた
「算数・数学のセンス」について。
しあん堂
小さいころから算数、お絵かき、読書が大好き。
中学受験で地域トップ校に合格。旧帝大卒業後、企業で教育・研修分野で働く。
現在は子供から大人まで、算数・数学の苦手克服のために図や言葉を駆使して指導中。
中学受験勉強を始めて8カ月で中堅校合格、数学テスト1ケタ台からで平均点以上、九九復習から始めた社会人が数Ⅰ・Aを身につけて看護学校合格、と幅広い成果がある。
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算数・数学のセンスって何だろう?
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小さい子から大人まで指導していると、
同じ範囲を教えていても理解のスピードに個人差があると感じます。
もちろん、私自身の算数・数学の指導力をもっと高めないといけないし、
生徒さんと私の相性の問題、生徒さんのその時のコンディションなど、
いろいろな外部要因もあって理解のスピードは変わると思います。
ただ、やはりそこにいくつかの違いがあることは事実です。
理解が早い人は「話が早い」です。
そして理解が早いのには、算数・数学のセンスが紛れもなくあるでしょう。
たとえばベン図の話をする時。ベン図は
①条件Aは満たすが条件Bは満たさない部分
②条件Bは満たすが条件Aは満たさない部分
③条件AもBも満たす部分
④条件AもBも満たさない部分
の4つに分かれています。
問題としては①+③の部分と②+③の部分の数字、全体の数字が示されていて、
そこから③や④の数を求めるものが多いです。
でも、ベン図自体を初めて見る人に説明する時、
明かされていない③や④の数字がパッとわかるかどうかは
人によって異なります。
これはおそらく、抜け漏れなく考えることができるかどうか、
という論理的思考につながる力によるでしょう。
約数や倍数の話をすると飲み込みに時間がかかる人もいます。
たとえば、288と648の公約数を考える問題など、
大きな数同士の公約数を求める際に時間がかかります。
様子を見ると「288も648も偶数だから」と何度も2で約分していたりします。
数のセンス、計算力のある人は
「2で割れそうだけど、4でも割れるかな?8は?」と、
ちょっと考えて大きな数で約分し、計算回数を少なくしています。
また、そういった計算力があれば、正解にたどり着くまでの
時間も短いので、疲れずに問題をどんどん解き進めることができるでしょう。
また、多くの人が悩む図形や空間図形。
これはセンスとしての表現が難しいところですが
算数・数学的に見ることができるか、慣れているか、
というところが問題になるかと思います。
よくある木製パズルのタングラムなどで、
うまく目指す形に組み合わせるためには、
三角や四角の木製ピースを机の上に置いたまま回転させて
上下を変えるだけではなく、持ち上げて裏から表にひっくり返す。
そういったいろんな角度から見られる力が必要です。
あれこれ考えながら取り組むことは、将来図形問題を解く時に
「ここは90度になりそう」「ここはどちらの辺が長いだろう」
「これは正三角形では?」といった、特徴に注意して考える
という大切な力になると思います。

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算数・数学のセンスは後から伸びる?
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それでは、それらの算数・数学センスは生まれ持ったものなのか。
答えはYesであり、Noでしょう。
ある程度は生まれ持ったものだと思いますが、
それだけではダメで、算数・数学で一定の学習時間を
積まないと本当に役立つ、秀でた力にはならないでしょう。
やっぱり算数・数学のセンスは、ある程度小さい頃から
計算したり図形に触れたり、いろんなドリルや問題を解いたり、
様々な角度から考えるといった
幅広い算数・数学的な取り組みをすることで伸びると思います。
でもこれは算数・数学に限らず、いろんなことで共通しています。
たとえば、音感が優れていても、小さい頃からずっと練習を続けないと
ピアノを高いレベルで弾くことはできないでしょう。
スポーツでも、身体能力をある程度鍛えていたら
後から始めた競技でも活躍することができる場合もありますが、
やはり多くの場合、一つのスポーツを
幼少期からやり続けている人にはかなわないでしょう。
他の競技者とコミュニケーションを取りながらプレーする力も、幼い頃からの鍛錬が必要になると思います。
また、どんなにセンスや才能があったとしても、
それを十分伸ばしきることは難しくなります。
「才能があったのに、そこまで伸びなかった」ということになりかねません。
そうやって考えると、やっぱり生まれた時に持っていた
センス・才能を磨くことでしか、大成することはできないでしょう。
磨き続けることが大切です。
また、それに向かう時の気持ちも大切です。
「周りから影響を受けて、そのスポーツをやらざるを得なかった」
という事情がある場合もあるでしょう。そういう時、それ自体が嫌いになったら困ります。
嫌いになると、自分から取り組む気持ちが薄れ、そこから遠ざかってしまう。
せっかくの生まれ持ったセンスも伸ばすことができなくなり、
とてももったいない結果になるでしょう。
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算数・数学の高みを目指すためにはセンスは必要?!
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かつて指導した社会人の方は、小学校高学年から算数が苦手になったが
やり直しをしたいということで、分数の計算から始めました。
でも、その方に関数について教えたところ
「あー、xというのは、数値を入力したら計算結果が出る
Excelのセルのようなものですね!」という感じで、
お仕事されている中で得られた経験に結びつけて実感を伴って理解されていました。
関数 y=xを、x自体に数字を入れて計算する計算問題
として捉えるだけではなく、「xは何か」ということを理解するというのは
なかなか難しいものです。
彼女がそれを短時間でやってのけたのは、
算数のセンスというか、理解する時に何かに結びつける力かもしれませんが、
この連想力があったからでしょう。
この力はいろんなところで役に立つはずですし、「すごい強みだな」と思います。
彼女は計算力が十分身に付いていなかったため苦労はされましたが、
とても意欲的でした。
計算力と同じくらい、またはそれ以上に理解しようとする気持ち、
主体的に取り組む気持ちは大切だ、と実感しました。
いかがでしたでしょうか?
人によるセンスのありなしはあると思いますが、
持って生まれたセンスだけでは高みを目指すことはできません。
必ずセンスを磨き、高みを目指して意欲的に、継続的に取り組むことが大切です!
適宜取り組んで、自分の力を伸ばせるといいですね!!